消防法について
Fire service act
ここでは改正された消防法について説明いたします。
消防法の改正
Change the law
1. 改正の背景
消防法改正に伴い、消防用設備や火災報知器等に関する基準が見直されました。
平成25年に起きた長崎県の認知症高齢者グループホーム火災や、福岡県で発生した※有床診療所火災(死者10名 負傷者5名)においては、避難誘導の未実施や防火戸未閉鎖などによる煙の充満などにより多くの方が犠牲となり、それらの状況を踏まえ消防設備の設置基準が変わり、平成27年4月に施行されました。
また、福祉サービスの多様化により、現行の消防法施行令別表第一における社会福祉施設等の分類とその実態とが整合しない状況が発生していることから、防火対象物の用途区分も見直されました。
2. 主な改正項目
● 病院・有床診療所など用途区分の見直し
● 消防用設備等の設置基準強化
3. 医療施設・診療所・福祉施設等の設置基準の改正
● ※令別表第一 6項イ(病院・診療所・助産所)
● 令別表第一 6項ロ(社会福祉施設等)
※有床診療所 ・・・・・・ 医療法上、19人以下の患者を入院させるための施設
※令別表 ・・・・・・・・ 消防法施行令別表 消防法施行のための内閣が制定する命令で、消防用設備に関する技術基準、救急業務、消防設備に関する検査等が定められている別表のこと。
4. 消防法改正
令別表第一 6項イ(病院・診療所・助産所)
(1)病院において診療科目に特定診療科目を有する
(2)有床診療所において4人以上の患者を入院させるための施設を有する
(3)入所施設を有する助産所
令別表第一 6項ロ(社会福祉施設等)
(1)老人短期入所施設・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム(非難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る)・介護老人保健施設に規定する老人短期入所事業を行う施設・小規模多機能型居宅介護事業を行う施設(非難が困難な要介護者を主として宿泊させるものに限る)・認知症対応型老人共同施設援助事業を行う施設・その他これらに類するものとして総務省で定めるもの
(2)救護施設
(3)乳児院
(4)障害児入所施設
(5)障害者支援施設
※(2)(4)(5)に関しては介助がなければ避難できないものを概ね8割以上入所させるものすべて
5. スプリンクラー
火災発生時に自力で非難することが困難な者が消防法令別表第一6項ロの社会福祉施設等については、延べ床面積275㎡以上でスプリンクラー設備の設置が義務付けられていましたが、改正により延べ床面積に関わらずスプリンクラー設備を設置することが義務付けられました。
スプリンクラー設備
Sprinkler equipment
スプリンクラー設備は消防設備の中でも非常に高い消火能力を有します。
共同住宅では11階以上の階に設置義務がありますが、法改正により特に病院や有床施設等は延べ床面積に関係なくスプリンクラー設備を設置する義務が生じます。
その中でも1000㎡以下の自力避難が困難で介護をする施設やその他の福祉施設には特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置が認められています。
※有床施設 ・・・・・・・・ ベッドを備え、通院治療及び必要があれば入院して治療を行う事ができる小規模な医療施設
※延べ床面積 ・・・・・・・ 建物の各階の床面積の合計のこと